神はお語りくださる
- 木村勉(ジョイチャペル牧師)
- 2 日前
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2025.6.29 ヘブル人への手紙1章1~3節
今日から、時々、へブル書を見ていきたいと思います。へブル書は新約聖書の中でも、旧約聖書と関連した内容がたくさん語られています。少々難しい部分もありますが、神さまがこの書を通して、何をお語りになっているのかを、御霊の助けをいただきながら、見ていきたいと思います。
さて、へブル人への手紙となっていますが、この手紙は、いつ、だれが、だれに対して書かれたものなのかが書いてありません。 新約聖書の中には、パウロの手紙が13通収められていますが、それらはきちんと、差出人も、受取人も書かれています。しかし、へブル書は著者不明なのです。 そこで古くから、著者問題が研究されてきました。
この手紙の著者も、パウロであろう、という指摘もありますが、よく見ていくと、どうもパウロとは違うようだ、というのが学者の見解なのです。では、誰が書いたのか。いくつかの説があります。
①バルナバという説。 使徒の働き4章24節には
彼はりっぱな人物で、聖霊と信仰に満ちている人であった。
と書かれていることから、彼であろうという説。
②アポロ説 使徒の働き18章24~25節に
さて、アレキサンドリヤの生まれで、雄弁なアポロというユダヤ人がエペソに来た。彼は聖書に通じていた。 この人は、主の道の教えを受け、霊に燃えて、イエスのことを正確に語り、また教えていた
とあることから、アポロであろう、という説。
③アクラとプリスキラ夫婦説 使徒の働き18章26節にはこんな記述があります。
彼(アポロ)は会堂で大胆に話し始めた。それを聞いていたブリスキラとアクラは、彼を招き入れて、神の道をもっと正確に説明した。
アクラとプリスキラは信徒なんですけれども、アポロ先生の話の中に、不完全さを覚えたのです。そこで、集会後、家に招いて食事をしながら、二人は自分たちがよく知っているイエス・キリストについて、さらに詳しく正確に説明したのです。
そこで、それほど、アポロに詳しく教えることのできた、アクラとプリスキラが、このへブル人への手紙を夫婦共同で執筆したに違いない、と主張する説もあるのです。
しかし、一番ふさわしい説は、④昔の学者の言葉「その著者は不明、神のみぞ知る」です。
その著者は誰ですか? 「わかりません、神のみぞ知る」なのです。
著者はわからなくても、内容が実に深い、実に高い。貴重なものなのです。
また、この手紙の受取人も、わかっていないのです。 しかし、ユダヤ教から、キリストを信じた人たちへのものだろう、ということでユダヤ人を指すへブル人への手紙とされているわけです。
内容を見ると、信仰ゆえの激しい迫害の嵐と、様々な間違った教えのためにもてあそばれる、そんな時代の中で、今にも元のユダヤ教に逆戻りしそうな、そういうクリスチャンたちに、信仰にしっかり踏みとどまるように、彼らを励まし、教えるために書かれたものなのです!
このヘブル書は全体を通して、イエス・キリストを見なさい、イエス・キリストにあなたの焦点をしっかり合わせて、この方がどういうお方であるかを、見失わないように、と語っているのです。 では本文を見ていきましょう。1節
神は、むかし父祖たちに、預言者たちを通して、多くの部分に分け、また、いろいろな方法で語られましたが、
手紙というのに、何の挨拶もなしに、いきなり語りだします。それも、驚くべき語りかけで始まります。 「神は…語られました」と始まるのです。
へブル書は、私たちが神を探し求めていくのではなく、「神が私たちに語られた」と言うのです! 人間が探し求めた結果ではなくて、神さまの側で、私たちに語りかけてくださった!と言うのです。私たちがではなく、神が語られたということは、神がご自分を現してくださったということ。これを啓示と言います。
「神が語りかける」とは、ベールを取る、との意味があります。神さまという方は、ベールがかかっていて、いるのか、いないのか、よくわからない。だから、人はいろいろと想像するのです。 しかし、神がベールをとって、ご自身を啓示してくださった! 神が自己紹介をしてくださったからには、私たちは、その方が語っていることを聞けば良いのです。想像する必要はないのです!
どのように語り、現してくださったのでしょうか? 多くの部分を通して、いろいろな方法で語っておられるのです。
①自然界を通して神は語り、ご自身を現してくださっています。この自然を見るときに、神の存在が疑いの余地がないほど、自然界の法則に則って動いています。私たちはたまたま、生まれてきたのでしょうか。少しずつ進化してきたのでしょうか。神などいないという進化論ですか。みんな偶然が重なって、今があるのでしょうか。有名な詩篇の19篇1節には、こうあります。
天は神の栄光を語り告げ、大空は御手のわざを告げ知らせる。
②良心を通して、神は語りかけておられます。悪いことをしようとすると、心が痛くなるでしょう。心臓がドキドキします。なぜですか。私のうちに心を痛めるものがあるから。神が良心を通して語りかけるのです。
③聖書を通して神は豊かに語りかけておられます。 しかし、人は、罪のために、神の声が聞こえなくなってしまいました。 また、聞いても信じられなくなってしまいました。しかし、私たちの側で、聖書に心を向けるならば、必ず、神は聖書を通して個人的に語ってくださるのです。
へブル書はキリストがどういうお方なのかを示しています。キリストはどんなお方なのでしょうか? 2~3節
神は、御子を万物の相続者とし、また御子によって世界を造られました。
御子は神の栄光の輝き、また神の本質の完全な現れであり、その力あるみことばによって万物を保っておられます。また、罪のきよめを成し遂げて、すぐれて高い所の大能者の右の座に着かれました。
①万物の相続者とあります。全世界の所有者ということ。万物だから私もキリストのもの。所有者は私ではないのです。所有者はイエス・キリスト。ですから、困ったら所有者のところに行けば良いのです。
②世界を造られた方。 時間も空間もキリストが造られたのです。すべてのすべてはキリストによって造られた! 私たちのイエス・キリストのイメージはクリスマス以降のイエスさまですが、創造者でもあるのです。
③神の栄光の輝き、神の本質の完全な現れである方。御子によって父なる神がわかる。ピリピ書では天の栄光を捨て、人間になられた、とあります。御子イエスこそ神そのもの。神がわからない? 御子によって神をわからさせてくださったのです。
④万物を保っておられる方。創造者はご自分が造ったものに関心があるのです。自然界の秩序ある動きは、まさに神が背後で保持していてくださっているのです。私たちも造られた目的に従って歩むことができるのです。
⑤罪のきよめを成し遂げられた方。 私たちの身代わりに死んでくださった方。創造者、保持者であるだけでなく、こんなちっぽけな私を心に留め、私たちの罪を清めるために十字架上で身代わり死に、永遠の贖いを成し遂げてくださいました。これほど驚くべきことがあるでしょうか。
⑥大能者の右の座につかれた方。 イエス・キリストは十字架で死なれ、墓に葬られ、3日目に死を打ち破ってよみがえられました。これは、作り話でも、おとぎ話でもないのです! 歴史的な事実として、キリストは、よみがえって500人以上の人々に現れた、と聖書は記しているのです! この復活の上に、教会は立っています。クリスチャンはこの復活の上に立っているのです。イエス・キリストは実によみがえって、弟子たちの見ている前で、天に挙げられ、栄光の座に着かれ、今も私たちのために執り成してくださっているのです。
2節に「終わりの時」とあります。キリストの誕生から「終わりの時」が始まっているのです。そして、やがて神の語りかけが終わる時が来ます。
神は「語るべきことはもう終わっていますよ、あとはあなたの応答を待っているだけですよ。」とおっしゃっているのではないでしょうか。
あなたは、神の語りかけを聞きましたか? その語りかけに応答しましたか?
神様はいろいろな方法で語りかけられています。自然、良心、御子、聖書を、説教を、祈りを通して、さまざまな状況を通して。
神に造られた者として、細きみ声に耳を傾け、語られたことに、謙遜に従って行きましょう。